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『世界幻想名作集』澁澤龍彦(河出文庫)の感想 [読書]

相変わらず最近の読書量減を反省して、チマチマと本を読んだりしております。

今回も、リハビリを兼ねて、
 【世界幻想名作集】澁澤龍彦(河出文庫)
を読みました。


IMG_3500.JPG
と、
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をはさみます。

学生時代に澁澤龍彦さんの本は何冊か読んだ気がします。
でも、今回のこの本は、
 ・澁澤さんが選んだ傑作幻想文学集
という体裁ですね。

収録されている作品は、
 1.ウンディーネ(フーケ)
 2.フランケンシュタイン(シュリー夫人)
 3.砂男(ホフマン)
 4.スペードの女王(プーシキン)
 5.鼻(ゴーゴリ)
 6.黒猫(ポー)
 7.ジキル博士とハイド氏(スティーヴンソン)
 8.ヴィルジニーとポール(リラダン)
 9.オノレ・シュブラックの失踪(アポリネール)

10.変身(カフカ)
と、私程度でも半分以上は、過去に読んだ気がするような有名なものばかり。

全部の感想を書くわけにも行きませんので、いくつか印象に残ったものを・・・。
かつ、昨今のサブカルチャースキーな方々が興味を持つような内容で・・・。
敢えてストーリーの抄訳的な内容は書きません。
検索すれば、出てくるほどの名作ですし・・・。


1.ウンディーネ
リアル人魚姫とでも言うところでしょうか?
今時、ウンディーネというと、某ネオベネチア辺りでゴンドラに乗っていそうですが、
こちらは本当の水の精霊ですね。
話が淡々と語られますが、男の浮気性が苦々しいという面と、精霊があくまで
悪い意味でピュアであることを再確認させられます。
精霊はあくまで精霊ですからねぇ・・・。
ああ、おばかたん!


2.フランケンシュタイン
原作では、フランケンシュタイン = 作り出した博士の名前 というのは認識してい
ましたが、こんな作品だったっけ?という印象。
昔読んだ気がしましたが、誤った記憶だったかも・・・。
フランケンシュタイン博士の作り出した醜悪な生物が、博士の親類を次々に殺戮
してゆく(淡々と文書で書いてあるだけですが)のが妙な違和感。
いつの間にか、
 フランケン = 見た目とは裏腹に心優しい
という印象が染み付いてしまっていたようです。
今の若い人から見ると、
 鋼練のホムンクルス
のようなイメージでしょうか。


6.黒猫
まさに黒猫の呪い!という印象ですが、どちらかというと、主人公の狂気へと変わっ
てゆく心理描写が恐ろしい。
ただ、最初から黒猫に「プルートー」という名前をつけている時点で、ちょっと変ですよ
ね。愛猫に「プルートー」って・・・。
最後まで読み終えると、むしろ黒猫にはすがすがしさを覚えます。
そういえば、JYOJYOの荒木飛呂彦さんの作品にも、猫と狂気に駆られた男の話が
ありますね。
何かしら、影響があるんでしょうかねぇ。



死刑執行中脱獄進行中―荒木飛呂彦短編集 (SCオールマン愛蔵版)

死刑執行中脱獄進行中―荒木飛呂彦短編集 (SCオールマン愛蔵版)

  • 作者: 荒木 飛呂彦
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1999/11
  • メディア: コミック



3.砂男
昔読んだことがあったと思うのですが、やはり曖昧だったりしまして・・・。
確かバレーなかにかの演目にもなっていた筈です。
 砂男 = 眠気を誘う民間伝承
との事ですが、本編で登場する砂男「コッペリウス」は猟奇的な殺人を厭わず
人間の身体を奪って人形を作成する奇人として描かれています。
フランケンの話といい、この手の話が多いですね、この本。
主人公のナタナエルが好きになったオリンピアも、コッペリウスと通じていた
スパランツァニ教授の作り出した人形であったワケですが、最後は悲劇的な
結末に・・・。

今の目で見ますと、人形に恋をしたりなんだりと、かなり今のヲタさん文学に
通じるものを感じます。
・・・と、言いますか、この「砂男」って今アニソン界に無くてはならない、
 ・ALI PROJECT
さんの出世作、「コッペリアの柩」の元になってますね。


 

ノワール オープニングテーマ「コッペリアの柩」

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2001/05/23
  • メディア: CD



あ、またNOIRだ・・・。
別に意図的に今日の日記を書き始めたワケではないんですが・・・。
言うまでもありませんが、NOIR候補生の3人の処女の皆様を、この砂男の
ヒロインにして人形であるオーフェリアになぞらえてるのでしょう。
 コッペリアの棺 = オーフェリアを運ぶ柩
という事でしょうね。


と、まとまりの無い感想ですいいません。
でも、過去の古典をこんな視点で読み返すのも、結構面白いかも・・・。



世界幻想名作集 (河出文庫―渋沢龍彦コレクション)

世界幻想名作集 (河出文庫―渋沢龍彦コレクション)

  • 作者: 澁澤 龍彦
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1996/10
  • メディア: 文庫





あうえうあ~。


nice!(9)  コメント(4) 
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コメント 4

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hide

お久しぶりです。ぼくも荒木飛呂彦大好きです。ウリリリッリーーー!
by hide (2008-11-16 01:58) 

僕もくま私もくま

死刑執行中脱獄進行中―荒木飛呂彦短編集も
ジョジョの奇妙な冒険も黄金の旋風までなら持っていたりw

PS.XBOX360とアイマスl4u買ってしまいました…orz
by 僕もくま私もくま (2008-11-16 06:38) 

kesagake

hide様、nice&コメント有難うございます。

お久しぶりです。
またご訪問いたします。
by kesagake (2008-11-16 11:58) 

kesagake

僕もくま私もくま様、nice&コメント有難うございます。

>死刑執行中脱獄進行中―荒木飛呂彦短編集も
>ジョジョの奇妙な冒険も黄金の旋風までなら持っていたりw

ある意味、黄金の旋風辺りで読まなくなるのも手かもしれない
ですね。
6部の結末が、多元宇宙論なのは、正直少々やりすぎな気も
しましたので。

といいつつ、コミックスは買い続けております。
by kesagake (2008-11-16 12:00) 

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